PEDIATRIC ORTHODONTICS

小児矯正

小児矯正

小児矯正とは?

小児矯正とは、乳歯から永久歯への生え変わりの時期(おおよそ3歳~12歳)に行う矯正治療です。大人になってからの矯正治療でも歯並びは整えられますが、小児期にしかできない大きなメリットがあるのをご存じでしょうか? 子どもの矯正では、成長段階にある顎の骨の発育をコントロールしながら治療を行うことができます。これにより、将来的に抜歯を避けられたり、大人になってからの本格的な矯正が不要になったりする可能性が高まります。

成長を利用できることで以下のようなメリットが得られます。

  • 顎のバランスが整うことで自然で美しい顔立ちに
  • むし歯や歯周病のリスクが低い口腔環境の形成
  • 将来の抜歯や外科矯正の回避
  • 正しい噛み合わせによる発音・咀嚼の改善
  • 永久歯がきれいに並ぶスペースの確保

矯正治療は、永久歯が生えそろう12歳前後を境に「1期治療(小児矯正)」と「2期治療(成人矯正)」に分かれます。1期治療では歯の移動だけでなく、顎の発達を促しながら根本的にバランスを整えていくことができます。この時期だからこそ、最小限の負担で最大限の効果が期待できるのです。

小児矯正の大切さ

~松飛台歯科医院の体験談:自身の矯正体験から~

私は医療法人和晃会グループ松飛台歯科医院の室伏 と申します。

実は私自身、20歳のときに成人矯正を経験しました。顎の成長が終わっていたため、大学病院で4年間の治療を受け、抜歯も行いました。治療には満足していますが、今となっては「もっと早く矯正していれば…」と思うことが多々あります。
特に強く思うのは、「むし歯になりにくい口の環境をつくれたかもしれない」ということです。
むし歯の原因には、細菌だけでなく、噛み合わせの悪さ(不正咬合)によって歯に負担がかかり、亀裂や破損が起きることも関係しています。子どもの頃に矯正で噛み合わせを整えていれば、むし歯や歯周病のリスクを減らすことができたかもしれません。
また、小児矯正では、顎を広げて永久歯のためのスペースを確保できるため、抜歯をせずに済む可能性が高くなります。 これは、実際に抜歯矯正を経験した私だからこそ、強く伝えたいポイントです。
海外では、矯正治療は当たり前の文化です。歯並びが悪いと「大人に見えない」と言われるほど、見た目の印象にも大きく影響します。
日本でも、見た目の美しさだけでなく、健康な口腔環境を育てるために、小児矯正は非常に有効な治療です。

お子様の歯並び、気になったらお気軽にご相談ください

出っ歯、受け口、ガタガタの歯並び、口が閉じにくい、口呼吸…どれも早期にアプローチすることで、大きな改善が期待できます。 「これって矯正したほうがいいのかな?」と迷われたときは、お気軽に当院までご相談ください。お子様一人ひとりの成長に合わせた、やさしい矯正治療をご提案いたします。

不正咬合(ふせいこうごう)とは?

子どもの歯並び・かみ合わせの乱れにご注意を

不正咬合とは、歯並びやかみ合わせが正しくない状態のことをいいます。見た目の問題だけでなく、むし歯や歯周病、発音、咀嚼、顎の発達や全身の健康にも影響を与えるため、できるだけ早期の発見・治療が望まれます。

不正咬合の主な種類

上顎前突
(じょうがくぜんとつ)

《出っ歯》
上の前歯が前方に突き出している状態で、いわゆる「出っ歯」と呼ばれます。見た目の問題だけでなく、口が閉じにくかったり、発音や咀嚼に影響を及ぼすこともあります。

下顎前突
(かがくぜんとつ)

《受け口・反対咬合》
下の前歯が上の前歯より前に出てしまう状態で、「しゃくれた顎」や「反対咬合」「受け口」とも呼ばれます。かみ合わせが逆転することで、発音障害や顎関節への負担が生じやすくなります。

上下顎前突
(じょうかがくぜんとつ)

上下ともに前歯が前に突き出している状態です。唇が閉じにくく、口呼吸やドライマウスの原因になることもあります。骨格的な問題が関与しているケースもあり、専門的な診断が必要です。

叢生
(そうせい)

《乱ぐい歯・八重歯》
歯がでこぼこに並んでいたり、犬歯(八重歯)が外に飛び出している状態です。顎が小さくて歯の生えるスペースが足りないことが原因とされます。磨き残しが多くなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
※特に50~70代の女性は加齢とともに叢生が悪化しやすいとされています。

開咬
(かいこう)

口を閉じても前歯が噛み合わず、隙間ができてしまう状態です。前歯で食べ物を噛み切れず、発音が不明瞭になるほか、奥歯に過剰な負担がかかりやすくなります。
むし歯・歯周病のリスクが非常に高い不正咬合のひとつです。

過蓋咬合
(かがいこうごう)

上の前歯が下の前歯を深く覆ってしまう状態で、顔が短く見えたり、下の歯や歯ぐきにダメージを与えてしまうことがあります。かみ合わせが深すぎることで顎の運動が制限され、顎関節に悪影響を及ぼすことも。

交叉咬合
(こうさこうごう)

上下の歯のかみ合わせが部分的に反対になっている状態です。噛むバランスが崩れ、顎の歪みや顎関節症のリスクが高まります。

子どもの不正咬合の原因は「日常の癖」にあることも

指しゃぶりや口呼吸、頬杖など、日常的な癖が歯並びや顎の発育に悪影響を与えることがあります。以下のような様子が見られる場合は、早めに歯科医師にご相談ください。

不正咬合チェックリスト(4歳以上のお子様)

  • 指しゃぶりやおしゃぶり、舌を突き出す、唇や爪を噛む癖がある
  • よく頬杖をつく
  • いつも口をポカンと開けている(口呼吸)
  • 歯ぎしりをしている
  • 姿勢が悪く、猫背気味である
  • 歯と歯がきっちり詰まり、すき間が全くない
  • 永久歯が予定の本数より少ない・まだ生えていない
  • 下の前歯が上の前歯より前にある(受け口)
  • むし歯を放置している
  • 外傷などで歯が抜けたままになっている

これらのチェック項目に複数当てはまる場合、早めの小児矯正でリスクを未然に防ぐことができます。

小児矯正のメリット・デメリット

メリット
  • 抜歯の可能性を減らせます。
  • 小児期に矯正を始めることで、顎の成長をコントロールできるため、歯が並ぶスペースを確保しやすく、将来的に抜歯をせずに矯正できる可能性が高まります。
  • 見た目がよくなり、自信につながります。
  • 上下の顎の成長をコントロールすることで、バランスのとれた歯並びに導くことができ、見た目のコンプレックス解消にもつながります。
  • 歯がスムーズに動きます。
  • 成長期は歯や顎の移動がしやすく、より効率的に矯正できます。
    むし歯・歯肉炎の予防に効果的です。
    比較的簡単な装置で対応可能です。
デメリット
  • 治療期間が長くなる場合があります。
    成長段階に合わせた段階的な治療が必要なため、年単位の通院になることもあります。
  • 装置の管理が不十分だと、むし歯のリスクが高まります。
    装置の清掃や装着時間の管理が必要です。お子様と保護者の協力が大切です。

小児矯正の治療内容

癖の改善・筋機能訓練(MFT)

悪い姿勢、指しゃぶり、舌の癖などが歯並びに与える影響は少なくありません。小児矯正では、そうした悪習癖を改善し、舌や唇、頬などの筋肉の正しい使い方をトレーニングすることで、自然で健康な発育を促します。また、矯正治療後の「後戻り」の予防にもつながります。

矯正装置を使った治療

お子様のお口の状態に合わせて、以下のような装置を適切に選択して治療します。

可撤式矯正装置
(取り外し式)
  • 床拡大装置(床矯正):ネジを回すことで顎の横幅を広げ、歯が並ぶスペースをつくります。乳歯から永久歯への生え変わりの時期に効果的です。
  • バイオネーター:下顎を前に成長させることで、出っ歯などを改善します。成長誘導を目的とした装置です。
  • ムーシールド:舌と唇の筋肉バランスを整えるマウスピース型装置で、主に受け口(反対咬合)のお子様に使用します。就寝時に装着します。
固定式矯正装置

装着中は常に効果を発揮するため、確実な治療が可能です。

  • クワドヘリックス:顎の拡大や歯列の調整に使用します。
  • 急速拡大装置:顎の幅を短期間で拡げます。
  • リンガルアーチ:歯の位置をコントロールします。
  • タングガード:舌の悪い癖(舌突出)を防止します。
顎外固定装置

成長誘導や上顎の前方移動などに使用します。

  • 上顎前方牽引装置(フェイスマスク)
  • ヘッドギア:上顎の成長を抑制し、かみ合わせを整えます。

まとめ:
小児矯正は「今しかできない治療」です

小児矯正は、お子様の成長を活かして自然な歯並びと顎の発育を導く治療です。大人になってからの矯正に比べて、負担や抜歯のリスクが少ないという大きなメリットがあります。
「将来の歯並びが心配」「今から始めるべきか迷っている」という方も、まずはお気軽にご相談ください。早めのチェックが、お子様の将来の笑顔と健康につながります。